VPoE(Vice President of Engineering, エンジニアリング部門副社長)のプロジェクトポジション
1. VPoEとは?
VPoEは、エンジニア組織全体のマネジメントを担当する役職であり、開発組織の「運営と成長」に責任を持つポジションです。CTOが技術戦略をリードするのに対し、VPoEは開発現場の組織運営に特化した実行責任者とも言えます。
たとえば、あるVPoEは、30人のエンジニアチームを100人規模へと拡張しながら、評価制度や1on1制度、技術広報体制を整備し、エンジニアの離職率を半減させました。
2. 主な業務
- エンジニア組織の採用・育成・評価制度の設計
- ピープルマネジメントと1on1の実施
- 組織課題の抽出と改善(文化、心理的安全性、技術負債)
- 開発プロセスの改善とデリバリー品質の向上
- CTO・PdM・デザイナーとの連携による開発体制の強化
- 評価・報酬制度の設計と運用
3. 必要なスキルとツール
マネジメントスキル
- 組織マネジメント(OKR/KPI設計、チームビルディング)
- 採用戦略とオンボーディング設計
- 1on1、ピープルマネジメント、メンタリング
プロセス・改善スキル
4. VPoEの協業スタイル
- CTO:技術戦略との整合性確認、技術判断の共有
- CEO/COO:経営陣への人材面・組織面の報告
- PM・PdM:ロードマップの進捗と開発ボトルネックの共有
- 人事・HRBP:採用、評価、組織戦略の連携
- エンジニア:キャリア相談、チーム間調整、心理的安全性の確保
5. キャリアパスと成長の方向性(VPoE)
VPoEは、エンジニアリング組織の構築・運営・成長を担うマネジメント職です。技術リーダーから始まり、徐々に人材育成・組織設計・経営視点を身につけていくことでVPoEへの道が開けます。
主なキャリアパス
- エンジニア → テックリード → EM(エンジニアリングマネージャー)→ VPoE
- EM → 組織横断マネージャー → 組織戦略責任者 → VPoE
- スタートアップ創業メンバー → チームビルダー → VPoE
🔍 ストーリー:エンジニアからVPoEへ
Tさんは初めは開発チームのテックリードとして活躍。メンバーとの1on1を重ねる中で、人材育成の重要性に気づき、自ら評価制度や育成フレームを提案。経営陣との対話を通じて、数年後には全社のエンジニア組織を統括するVPoEに就任しました。
6. VPoEの将来展望と必要性の高まり
プロダクトの成長や組織のスケーリングに伴い、「人」と「技術」を両立できるVPoEの役割は急速に拡大しています。
- エンジニアの定着率・生産性向上への責任
- 組織文化の設計(心理的安全性、行動指針、D&I)
- 採用戦略と育成の内製化
- 経営層との架け橋としての役割
- プロダクト品質・技術負債のマネジメント
🔍 ストーリー:拡大期に求められたリーダー
Mさんの企業では急速な採用により開発体制が崩壊寸前に。MさんはVPoEとしてOKRを再定義し、チーム構造を再設計。エンジニアの信頼を取り戻し、開発サイクルの安定化と離職率の低下を実現しました。
7. VPoEを目指すための学習方法
1. マネジメントスキルの習得
- 1on1の設計と運用
- 評価・フィードバックスキル
- 組織心理学、モチベーション理論の理解
2. 組織設計と制度運営
- 採用プロセスとオンボーディングの設計
- OKR/KPIの設計と運用
- 組織開発とカルチャー設計
3. プロダクト・開発プロセスへの理解
4. 実践経験の蓄積
- EMやリーダー職としてのチームマネジメント
- 組織イベント・勉強会の運営
- 他社との知見交換(Meetup、カンファレンス登壇)
8. 面接でよくある質問とその対策(VPoE)
質問例と回答のポイント(抜粋20問)
VPoEとしての役割をどのように理解していますか?
- 回答ポイント:組織運営、ピープルマネジメント、経営との連携
VPoEとCTOの違いは何だと思いますか?
- 回答ポイント:CTOは技術戦略、VPoEは組織運営・育成が主軸
エンジニアの評価制度をどのように設計・運用しましたか?
- 回答ポイント:行動指針、技術スキル、チーム貢献などの定量・定性評価
組織の心理的安全性をどう確保していますか?
- 回答ポイント:1on1の実施、傾聴姿勢、心理的なバリアの排除
離職率を下げるために行った取り組みは?
- 回答ポイント:キャリア支援、評価の透明性、フィードバック文化
ピープルマネジメントで大切にしていることは?
- 回答ポイント:信頼関係、成長支援、公平性
採用面で重視する観点とその理由は?
- 回答ポイント:カルチャーフィット、課題解決力、主体性
テックリードやEMとの役割分担はどう考えていますか?
- 回答ポイント:裁量の明確化、階層構造と横断連携
複数チームのパフォーマンスをどうモニタリングしていますか?
- 回答ポイント:KPIの定義、定例レビュー、OKRトラッキング
VPoEとして最も難しかった経験と、それをどう乗り越えたか?
回答ポイント:事例提示、課題分析、学びと行動の変化
開発プロセス改善の事例を教えてください。
- オンボーディング設計で工夫した点は?
- 部門横断的な連携をどう推進していますか?
- 評価に関して不満が出た時の対応は?
- エンジニアの成長支援において具体的に行っていることは?
- カルチャーを言語化したことはありますか?
- 育成とデリバリーのバランスをどう取っていますか?
- 経営層へのレポートはどう工夫していますか?
- 社内勉強会や技術広報に関する取り組みは?
- あなたが目指すVPoE像は?
これらの質問は、VPoE候補者に求められる「組織視点」「マネジメント力」「人材開発力」「経営との連携スキル」を総合的に評価するためのものです。実体験を元に、構造的かつ誠実に答えることが大切です。