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クラウドエンジニアの役割とスキル要件

クラウドエンジニア(Cloud Engineer)のプロジェクトポジション

1. クラウドエンジニアとは?

クラウドエンジニアは、パブリッククラウドAWSGCP、Azureなど)やプライベートクラウド環境の設計・構築・運用を担当し、企業のインフラ基盤をクラウド上で最適化・自動化する専門職です。オンプレミスからクラウドへの移行、セキュリティ対策、コスト管理、DevOps連携など幅広い業務を担います。

たとえば、あるクラウドエンジニアは、オンプレミス環境をAWSに移行し、Auto Scalingとマネージドサービスを活用することで、インフラコストを40%削減し、サービスの可用性を向上させました。


2. 主な業務

  • クラウドインフラ(AWS, GCP, Azure)の設計・構築・運用
  • オンプレミスからクラウドへの移行(Lift & Shift / リアーキテクト)
  • ネットワーク・セキュリティ設計(VPC, IAM, Firewallなど)
  • Infrastructure as Code(IaC)による自動化(Terraform, CloudFormationなど)
  • コスト最適化とリソースモニタリング(Billing, CloudWatch, Cost Explorer
  • システム監視とアラート設定(Datadog, Prometheus, ELKなど)
  • SRE・DevOpsチームとの連携によるCI/CD基盤の整備

3. 必要なスキルとツール

テクニカルスキル

  • クラウドプラットフォーム(AWS, GCP, Azure)の専門知識
  • 仮想ネットワーク、ロードバランサーDNS設定
  • OS(Linux, Windows)の基礎操作
  • コンテナ基盤(Docker, Kubernetes)の知識
  • 自動化・IaCツール(Terraform, Ansible, Pulumiなど)
  • モニタリングとログ分析(CloudWatch, Stackdriver, Datadogなど)

ソフトスキル


4. クラウドエンジニアの協業スタイル

  • 開発チーム:アプリ要件に沿ったクラウド設計、CI/CD連携
  • SRE・インフラチーム:可用性・冗長性の高いシステム設計と障害対応
  • セキュリティチーム:セキュリティレビュー、ゼロトラストネットワークの導入
  • IT企画・マネジメントクラウドコスト管理とIT戦略との整合

5. キャリアパスと成長の方向性(クラウドエンジニア)

クラウドエンジニアは、企業のITインフラをクラウド上で最適化・自動化する役割を担い、システムの可用性・スケーラビリティ・セキュリティを高めながら、ビジネスの成長を支える専門職です。オンプレミスの運用経験や仮想サーバの管理からスタートし、IaC、CI/CD、マルチクラウド設計へと専門性を高めていきます。

主なキャリアパス

  • サーバー管理者 → クラウド移行担当 → クラウドエンジニア
  • ITインフラエンジニア → 自動化エンジニア → クラウドアーキテクト
  • システム運用担当 → DevOps/クラウド統合チーム → SRE/プラットフォームエンジニア

🔍 ストーリー:オンプレからクラウドスペシャリストへ

TさんはIT企業の社内SEとしてキャリアを開始。物理サーバーとVM管理に従事しながら、社内システムの冗長化に取り組みました。ある案件でAWS移行を主導することになり、VPC設計、IAMポリシー構築、CloudFormationによるIaCに挑戦。安定した運用とコスト最適化に成功した経験を経て、現在は複数クラウド環境(AWS/GCP)のハイブリッド運用をリードするクラウドエンジニアとして活躍しています。


6. クラウドエンジニアの将来展望と市場ニーズの変化

DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、クラウドエンジニアの需要は急拡大しています。単なる「インフラ運用担当」から、「クラウドネイティブ設計の戦略家」へと役割は変化しつつあります。

  • マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの最適設計と運用
  • FinOps(クラウドコスト最適化)のスキル需要拡大
  • IaC + CI/CD統合によるDevOps連携の深化
  • サーバレス・マネージドサービスの活用による運用負荷軽減
  • クラウドセキュリティ(ゼロトラスト、脆弱性管理)の強化

🔍 ストーリー:信頼性とスピードの両立へ

Kさんは大手小売業のシステム部門にて、店舗システムのクラウド化を担当。従来のバッチ処理をイベント駆動のマイクロサービスに切り替え、GCPのPub/SubとCloud Functionsを活用。さらにモニタリングにCloud LoggingとDatadogを導入し、障害検知時間を1/10に短縮。現在はインフラ全体の信頼性エンジニアリングを担い、グローバル展開を視野に入れたSREチームの立ち上げに携わっています。


7. クラウドエンジニアを目指すための学習方法

1. クラウド基礎とプラットフォーム理解

  • AWS/GCP/Azureの基本サービス(EC2, S3, VPC, IAM など)
  • ネットワーク構成(サブネット、NATゲートウェイ、ルーティング)
  • ストレージ、コンピュート、セキュリティ、運用サービスの特徴理解

2. IaCと自動化スキル

  • Terraform、CloudFormation、PulumiなどのIaCツール
  • Ansibleによる構成管理
  • Jenkins, GitHub Actions, GitLab CIによるCI/CD連携

3. モニタリングとトラブルシューティング

  • CloudWatch、Stackdriver、Datadogの基本操作
  • SLA/SLO/SLIの設計
  • ログ設計と障害対応フロー(ポストモーテム含む)

4. セキュリティとコンプライアンス

  • IAM、KMS、Secret Managerなどによる権限・鍵管理
  • セキュリティグループ、NACL、WAFなどの設定
  • 脆弱性スキャン、自動セキュリティレビューの導入

5. 実践と継続学習

  • クラウド資格(AWS認定、GCP認定など)の取得
  • Hands-on Labs、検証環境構築によるスキル定着
  • 技術ブログ、Cloud Study Jams、re:InventやCloud NEXT等のイベント参加

8. 面接でよくある質問とその対策(クラウドエンジニア)

質問例と回答のポイント(抜粋20問)

  1. クラウドエンジニアとして最も重要な役割は何だと考えますか?

    • 回答ポイント:可用性・拡張性・セキュリティを考慮した設計と運用
  2. これまでに担当したクラウド移行プロジェクトについて教えてください。

    • 回答ポイント:移行手法(Lift & Shiftや再設計)、課題とその克服方法
  3. AWS/GCP/Azure での具体的な構築経験はありますか?

    • 回答ポイント:VPC設計、EC2/S3などのサービス利用、IAM管理
  4. Infrastructure as Code(IaC)を使った運用経験を教えてください。

    • 回答ポイント:TerraformやCloudFormationを用いた再現性・可搬性の確保
  5. クラウドコストの最適化に取り組んだことはありますか?

  6. 可用性を高めるためのアーキテクチャ設計について教えてください。

    • 回答ポイント:マルチAZ構成、Auto Scaling、冗長化設計
  7. 障害発生時のトラブルシューティングの経験は?

    • 回答ポイント:ログ解析、アラート対応、ポストモーテムの実施
  8. セキュリティ設計で意識しているポイントは?

    • 回答ポイント:IAMロールの最小権限設定、KMSによる鍵管理、WAF導入
  9. IaC・CI/CD・モニタリングの統合経験はありますか?

    • 回答ポイント:GitHub Actions + Terraform + Datadogなどの統合例
  10. クラウドにおけるトラブルの再発防止策をどう講じていますか?

  11. 回答ポイント:SLOの見直し、監視設計の強化、自動リカバリー導入

  12. クラウドセキュリティのベストプラクティスをどう学んでいますか?

  13. FinOps(クラウドコスト管理)についての知見や関与経験は?
  14. コンテナ(Docker/Kubernetes)を利用した環境構築経験は?
  15. サーバレス構成(Lambda, Cloud Functionsなど)の利用経験は?
  16. 複数クラウドを組み合わせた構成を設計したことはありますか?
  17. 監視ツールの選定基準と導入経験について教えてください。
  18. マルチアカウント/プロジェクトの管理で工夫していることは?
  19. チーム内のクラウドリテラシー向上に貢献した経験はありますか?
  20. クラウドサービスの新機能を業務に取り入れる際の判断基準は?
  21. あなたにとって理想的なクラウド基盤とは?

これらの質問は、クラウドエンジニアとしての構築・運用スキル、セキュリティ意識、トラブル対応力、コスト最適化力を測るためのものです。具体的なプロジェクト経験をもとに、STAR形式(Situation, Task, Action, Result)で語れるよう準備しておくと良いでしょう。