SRE(Site Reliability Engineer)のプロジェクトポジション
1. SREとは?
SRE(Site Reliability Engineer)は、Googleによって提唱された役割であり、ソフトウェアエンジニアリングの手法を用いて、システムの信頼性・可用性・パフォーマンスを最大化する専門職です。SLA/SLO/SLIの設計や障害対応、自動化、モニタリングなどを通じて、運用の効率化と品質向上を両立します。
たとえば、あるSREはCI/CDパイプラインの信頼性を強化し、リリース失敗率を20%低下させるとともに、エラーバジェットに基づくデプロイ制御により開発・運用のバランスを実現しました。
2. 主な業務
- SLA/SLO/SLIの定義とモニタリング設計
- システムの可観測性向上(Observability)
- 障害対応(オンコール、ポストモーテム、RC分析)
- リリースの自動化と信頼性担保(CI/CD)
- キャパシティプランニングとパフォーマンス最適化
- カオスエンジニアリングなどを用いたレジリエンス向上
- インシデントの再発防止と改善サイクルの推進
- Devチームとの協働による信頼性の内包
3. 必要なスキルとツール
テクニカルスキル
- OS/ネットワーク/コンテナ/Kubernetesの運用知識
- プログラミング(Python, Go, Bash など)
- モニタリング(Prometheus, Grafana, Datadog など)
- ログ分析(ELK, Fluentd, Cloud Logging など)
- CI/CDツール(Jenkins, Argo CD, GitHub Actions など)
- クラウドインフラ(GCP, AWS, Azure など)
ソフトスキル
- 冷静な障害対応とオンコール耐性
- チーム連携とDevとの信頼関係構築
- データドリブンな改善思考
4. SREの協業スタイル
- 開発チーム:機能実装と信頼性担保のバランス設計
- クラウド/インフラチーム:スケーラブルな環境の整備
- CS/サポート:ユーザー影響の分析と改善フィードバック
- マネジメント層:エラーバジェットやSLOの可視化を通じた意思決定支援
5. キャリアパスと成長の方向性(SRE:Site Reliability Engineer)
SRE(Site Reliability Engineer)は、システムの可用性・スケーラビリティ・レジリエンスを高めるために、ソフトウェアエンジニアリングの技術を運用に適用する職種です。運用の自動化と改善を軸に、インフラとアプリケーションの信頼性を横断的に担います。インフラ運用から始まり、CI/CD・Observability・エラーバジェットなどの知識を習得し、より高度な信頼性設計と組織改善に携わっていきます。
主なキャリアパス
- サーバ運用エンジニア → モニタリング担当 → SRE
- DevOpsエンジニア → SRE → シニアSRE/プラットフォームエンジニア
- アプリ開発エンジニア → Reliability Champion → SRE
🔍 ストーリー:再発防止から文化改革へ
Mさんは社内システム運用担当として多数のインシデントに対応していましたが、再発防止策が表層的であることに限界を感じていました。SREの概念に出会い、ポストモーテムとエラーバジェットの設計を提案。導入後、インシデントの件数は減少し、開発チームとの連携が強化され、全社的に「信頼性を共有する文化」が根付きました。
6. SREの将来展望と市場ニーズの変化
クラウドネイティブやマイクロサービスの普及により、SREの重要性は急速に高まっています。障害をゼロにするのではなく、「想定し、受け入れ、迅速に復旧する」ための仕組みづくりが求められます。
- 可観測性(Observability)の標準化と統合
- カオスエンジニアリングによるレジリエンス検証
- セキュリティと信頼性の統合(Secure SRE)
- Devとの共通KPI(SLO/SLI)を起点とした協働体制
- ビジネス側との接続(可用性指標の経営判断への活用)
🔍 ストーリー:障害から競争優位へ
Yさんは大規模ECサイトのSREとして、年末商戦時のトラフィック急増に備えて負荷テストとスケーリング戦略を強化。本番環境での障害発生を最小限に抑えるだけでなく、レポートをもとにプロダクト戦略の改善提案まで行いました。現在では経営会議でもSLOが報告され、信頼性が企業価値の一部として評価されています。
7. SREを目指すための学習方法
1. 基礎技術とインフラ知識
- OS(Linux)とネットワークの基本知識
- クラウド(AWS/GCPなど)の主要サービスと構成管理
- 仮想化・コンテナ(Docker/Kubernetes)技術
2. 信頼性設計と可観測性
- SLA/SLO/SLIの定義と運用経験
- モニタリング・アラート設計(Prometheus, Grafana, Datadog など)
- ログ集約とトレーシング(Fluent Bit, OpenTelemetry など)
3. 自動化とCI/CDパイプライン
- IaC(Terraform, Ansible など)の利用経験
- GitHub Actions, Argo CD, Jenkins を使った自動化
- Blue/Green, Canary, Rolling などのリリース戦略
4. トラブルシューティングと改善文化
- インシデント対応手順、ポストモーテム作成
- エラーバジェットの管理と運用調整
- チーム横断の信頼性向上ワークショップの実践
5. 継続的学習とコミュニティ参加
- 『Site Reliability Engineering(O'Reilly)』などの専門書読破
- Google SRE Workbookなどの実践資料
- SRE LoungeやMeetup、SREconなどのイベント参加
- 技術ブログでのナレッジ共有、技術登壇
8. 面接でよくある質問とその対策(SRE:Site Reliability Engineer)
質問例と回答のポイント(抜粋20問)
SREとして最も重要だと考える責任は何ですか?
- 回答ポイント:システムの可用性・パフォーマンス・信頼性の維持と改善
これまでに経験したインシデントとその対応内容を教えてください。
- 回答ポイント:状況分析、原因特定、復旧措置、ポストモーテムの実施
SLA/SLO/SLIの違いと、それらをどのように活用していますか?
- 回答ポイント:定義の説明、実務適用例、エラーバジェットの管理
オンコール対応で意識しているポイントは何ですか?
- 回答ポイント:早期検知、アラートの最適化、根本原因へのアプローチ
可観測性(Observability)を高めるために行った工夫は?
- 回答ポイント:メトリクス、ログ、トレースの統合と可視化の改善
CI/CDパイプラインの信頼性向上に貢献した経験を教えてください。
- 回答ポイント:自動化、テスト整備、ロールバック設計
IaCツール(Terraform/CloudFormationなど)の利用経験は?
- 回答ポイント:インフラ管理の再現性、コードレビュー体制の構築
Kubernetesの運用で直面した課題とその対応は?
- 回答ポイント:Pod障害、スケーリング、モニタリング対応
カオスエンジニアリングに取り組んだことはありますか?
- 回答ポイント:レジリエンス強化、想定外障害の検証
SLIが悪化した場合のアクション例を教えてください。
回答ポイント:トラブルシューティング、アラート調整、再発防止策
SREとDevOpsの違いについて説明してください。
- エラーバジェットを用いた開発制御の経験はありますか?
- システムのスケーラビリティを改善した事例は?
- モニタリングツールの選定と導入経験を教えてください。
- セキュリティと可用性のトレードオフをどう考えていますか?
- 開発チームとの協業で工夫している点は?
- オンプレからクラウド移行を担当した経験と課題は?
- チームの運用文化を改善した経験はありますか?
- SREとして現在注目している技術やトレンドは?
- あなたにとって理想のSRE文化とは何ですか?
これらの質問は、SREとしての技術力、信頼性思考、トラブル対応力、チーム連携力を評価するためのものです。過去の具体的なプロジェクトをもとにSTAR形式(Situation, Task, Action, Result)で語れるように準備しましょう。