UI/UXリサーチャー(UI/UX Researcher)のプロジェクトポジション
1. UI/UXリサーチャーとは?
UI/UXリサーチャーは、ユーザー視点に基づく調査と分析を通じて、より良いユーザー体験(UX)と使いやすいユーザーインターフェース(UI)を設計するためのインサイトを提供する専門職です。インタビュー、観察、行動分析、定量調査などを活用し、プロダクトやサービスの設計段階から意思決定に貢献します。
たとえば、あるリサーチャーはSaaSプロダクトの改善プロジェクトにおいて、ユーザーインタビューを通じてナビゲーションの混乱ポイントを特定し、情報設計の刷新を提案。UI改善後の継続率が15%向上しました。
2. 主な業務
- ユーザーインタビュー、アンケート設計・実施・分析
- ユーザビリティテストの計画・実行・評価
- カスタマージャーニーやペルソナの設計
- ログ・ヒートマップなどの行動データ分析
- 定性・定量データの統合的な分析と仮説構築
- プロダクトマネージャーやデザイナーへのフィードバック提供
- 調査結果のレポート作成とステークホルダーへの報告
3. 必要なスキルとツール
リサーチスキル
- 定性調査(インタビュー、観察、フィールド調査)の実施スキル
- 定量調査(アンケート設計、統計的分析)の設計スキル
- ユーザー中心設計(UCD)およびデザイン思考の理解
分析・ツールスキル
- Google Analytics、Hotjar、Mixpanel、Amplitudeなどのデータ分析ツール
- Miro、FigJam、Notionなどの共有ツール
- SPSS、R、Pythonなどによる統計分析(任意)
- ユーザビリティテストツール(UserTesting、Mazeなど)
4. UI/UXリサーチャーの協業スタイル
- UX/UIデザイナー:調査結果に基づくインターフェース改善への提案
- プロダクトマネージャー:KPIやビジネス要件を踏まえた仮説設計と検証
- エンジニア:技術的制約を考慮したUX改善案の実現性評価
- マーケティングチーム:ユーザー行動と市場ニーズの接点把握
5. キャリアパスと成長の方向性(UI/UXリサーチャー)
UI/UXリサーチャーは、ユーザー中心のプロダクト開発を支える専門職として、定性・定量の両面からユーザーの行動と心理を分析し、UXの最適化に貢献します。キャリアのスタートは、UXデザインやマーケティング、データ分析などの関連職種から始まり、リサーチの専門性を深めることで、戦略的なリサーチ責任者やUXマネージャーへと成長していきます。
主なキャリアパス
- UXアシスタント → UXリサーチャー → UX戦略担当 → UXマネージャー
- マーケティング分析職 → デジタルリサーチャー → UI/UXリサーチャー
- アカデミア・人間工学・心理学系研究者 → HCD専門家 → UXリサーチ責任者
🔍 ストーリー:数値と感情のあいだをつなぐ
Kさんは新卒でデータアナリストとしてキャリアをスタート。Webログ解析を通じてユーザー行動を定量的に捉えるスキルを磨きました。しかし、数値では捉えきれない「なぜ離脱するのか」に興味を持ち、転職を機にUXリサーチへシフト。ユーザーインタビューやユーザビリティテストの実施経験を重ね、現在はUXリサーチチームのリーダーとして定性・定量の融合による設計支援を担っています。
6. UI/UXリサーチャーの将来展望と市場ニーズの変化
プロダクト開発において、UXリサーチの重要性は年々高まっています。特に、SaaSやモバイルアプリ、自治体・医療・金融など複雑な利用文脈をもつ分野では、ユーザーの真のニーズを把握するリサーチャーの役割が重要です。
- UX戦略と事業成長の橋渡し役への進化
- 多国籍・多言語ユーザーへのインクルーシブデザイン
- 生成AIなど新技術とのUX適合性検証
- プロダクトチーム内での“内製リサーチ文化”の浸透
🔍 ストーリー:公共サービスを「使えるもの」へ
SさんはUXリサーチャーとして、ある自治体の住民ポータルサイト再設計に従事。高齢者ユーザーに対するインタビューや操作観察を通じて、デジタル非ネイティブにとっての課題を抽出。チームとともに情報構造やナビゲーションを刷新した結果、アクセス率と申請完了率が大幅に向上しました。このように、リサーチャーは社会的課題に対しても具体的な改善をもたらす存在です。
7. UI/UXリサーチャーを目指すための学習方法
1. ユーザーリサーチの基礎と応用
- ユーザー中心設計(UCD)、HCD(人間中心設計)の理論
- ペルソナ設計、カスタマージャーニーマップの作成法
- インタビュー設計・実施・分析の基本
- ユーザビリティテストの設計と評価手法
2. 定量調査と行動データ分析
- アンケート設計と集計・分析方法(ロジカルスケール、因子分析など)
- Google Analytics、Hotjar、Amplitudeなどのツール活用
- ヒートマップやクリックトラッキングによる視覚的分析
- ABテスト設計と統計的有意性の検証
3. ドキュメンテーションとレポーティング
- 仮説立案と検証結果の可視化
- 調査レポートの構成とプレゼンテーション
- ステークホルダーとの合意形成のためのコミュニケーション設計
4. 実践と継続学習
- 自社または模擬プロジェクトでのUX改善提案
- デザイナー・PMとの共同ワークショップの実施経験
- UX関連のカンファレンス参加・資格取得(HCD-Net認定、UX検定など)
- 海外リサーチ文化のリーディングと実践知の吸収
8. 面接でよくある質問とその対策(UI/UXリサーチャー)
質問例と回答のポイント(抜粋20問)
UI/UXリサーチャーとして最も大切だと考える視点は何ですか?
- 回答ポイント:ユーザー中心視点、客観的観察、仮説検証の柔軟性
ユーザーインタビューの設計・実施経験について教えてください。
- 回答ポイント:目的設計、質問構造、共感的な聞き方、分析方法
どのようにしてユーザビリティ課題を特定し、解決に導きましたか?
- 回答ポイント:観察とテストの組み合わせ、定量データとの照合
複数のステークホルダーの要求が矛盾する場合、どう調整しますか?
- 回答ポイント:ユーザーデータに基づく中立的判断、共通目的の再確認
ユーザー行動分析ツール(GA、Hotjarなど)の使用経験は?
- 回答ポイント:ツールの目的と活用法、導き出されたインサイト
定性と定量のリサーチをどのように統合していますか?
- 回答ポイント:調査目的に応じた組み合わせ、仮説検証の流れ
ペルソナやカスタマージャーニーを設計する際のポイントは?
- 回答ポイント:実データの活用、関係者との共創、仮説の検証性
リサーチ結果をどのようにプロダクトチームへ共有していますか?
- 回答ポイント:視覚化、ストーリーテリング、ワークショップ型報告
失敗したリサーチ経験とそこからの学びを教えてください。
- 回答ポイント:仮説の偏り、設問設計の課題、振り返りの実践
どんなときにユーザビリティテストよりもインタビューを優先しますか?
回答ポイント:行動の背景を理解したい時、感情や意図を知りたい時
調査レポート作成のフローと工夫点は?
- UXリサーチがプロダクトに与えた具体的な影響は?
- 他部署とのリサーチコラボ経験とその成果は?
- 短期間で調査と報告を終える必要があるとき、どう対応しますか?
- 海外ユーザーへのリサーチ経験と工夫点は?
- バイアスや先入観を排除するための対策は?
- プロダクト開発初期段階におけるリサーチの役割は?
- 最新のUXリサーチトレンドや技術で注目しているものは?
- UXデザイナーとリサーチャーの違いをどう認識していますか?
- あなたが考える"良いUX"とは何ですか?
これらの質問は、UI/UXリサーチャーとしての観察力、分析力、実行力、そしてコミュニケーション力を総合的に評価するためのものです。具体的な事例やツールの活用法、失敗からの学びなど、自身の経験をストーリーとして語れるよう準備しておきましょう。