インタラクションデザイナー(Interaction Designer)のプロジェクトポジション
1. インタラクションデザイナーとは?
インタラクションデザイナー(Interaction Designer)は、ユーザーとプロダクト(Webサイト、アプリ、ソフトウェアなど)との間に生じる“インタラクション(相互作用)”を設計する専門職です。視覚的デザインや情報構造だけでなく、アニメーション、フィードバック、遷移、操作性など、体験そのものを構築する役割を担います。
例えば、あるインタラクションデザイナーは、音声アシスタントアプリのプロトタイプを設計し、ユーザーの声のトーンや間の取り方に反応する自然な対話設計により、満足度を大きく向上させました。
2. 主な業務
- ユーザーインタラクションの設計とプロトタイピング
- UIコンポーネントの状態設計(hover、click、loadingなど)
- ジャーニーマップ・タスクフロー設計
- ユーザビリティテストの実施と改善提案
- アニメーションやマイクロインタラクションの演出
- デザインシステムやUXパターンの整備
- デザイナー、エンジニア、PMとの連携
3. 必要なスキルとツール
デザインスキル
- HCI(Human-Computer Interaction)に関する知識
- アクセシビリティとレスポンシブデザインへの理解
- ユーザー行動の観察と抽象化能力
ツールスキル
- Figma、Adobe XD、SketchなどのUI設計ツール
- Protopie、Framer、Axureなどのインタラクションプロトタイピングツール
- Miro、FigJamを用いたチームとのアイデア設計
- HTML/CSS/JavaScriptの基礎知識(開発者との円滑な連携のため)
4. 協業スタイル
- UXデザイナー:情報設計やペルソナに基づくインタラクション設計の共同作業
- UIデザイナー:ビジュアル表現と操作性のバランス調整
- エンジニア:技術的制約に応じた実装可能な動作設計と仕様書共有
- PM/PO:プロダクト要件に沿ったUX課題の洗い出しと優先順位付け
5. キャリアパスと成長の方向性(インタラクションデザイナー)
インタラクションデザイナー(Interaction Designer)は、ユーザーとプロダクトの接点における操作性、体験の流れ、感情的インパクトなどを設計するスペシャリストです。UI/UXデザインの経験を活かしながら、より動的で直感的なユーザー体験の創出に寄与します。
主なキャリアパス
- UIデザイナー → インタラクションデザイナー → UXリード → デザインディレクター
- フロントエンドエンジニア → プロトタイピングスペシャリスト → インタラクションデザイナー
- アニメーター/モーショングラフィック経験者 → マイクロインタラクション設計者 → インタラクションデザイナー
🔍 ストーリー:操作から体験の設計者へ
Aさんは元々フロントエンドエンジニアとして、UI実装を担当していました。次第に「なぜこの操作が選ばれているのか」「どうすればより直感的に伝わるのか」といった問いに強い興味を抱き、UIデザインに加え、プロトタイピングとモーション設計を学習。ユーザーインタビューやペーパープロトタイピングを通じて、単なる見た目ではない“体験の質”を探究するように。現在はインタラクションデザイナーとして複数のサービスで中心的なUX改善をリードしています。
6. インタラクションデザイナーの将来展望と市場ニーズの変化
デジタルプロダクトが多様化する中で、ユーザーとプロダクトの関係性も深化しています。インタラクションデザイナーは単にUIを構成するだけでなく、サービス全体の体験設計においてますます重要な役割を果たすようになっています。
- マイクロインタラクションによるUXの差別化
- ノーコード/ローコード時代のプロトタイピング需要の増加
- 音声・ジェスチャー・マルチモーダルUIへの対応
- 自然言語処理との統合による対話型UIの進化
- サステナビリティや倫理観を含めた設計思想の導入
🔍 ストーリー:機能から感情へのデザイン
BさんはECサービスのインタラクション改善を担当。以前は購買完了までのスピードに重きを置いた設計でしたが、ユーザーの「ワクワク感」や「安心感」も重要だと気づき、マイクロアニメーションや購入後のフィードバック演出を提案。結果、リピート率が向上し、ブランド好感度も上昇しました。体験は機能を超えて、感情に働きかける要素であると証明した事例です。
7. インタラクションデザイナーを目指すための学習方法
1. ユーザー中心設計の基礎理解
2. プロトタイピングと動きの設計
3. 観察と検証のスキル
- ユーザーインタビュー、行動観察の手法
- カスタマージャーニーマップの設計
- 定性・定量のデータを統合したフィードバック分析
4. 継続的なアウトプットと学習
8. 面接でよくある質問とその対策(インタラクションデザイナー)
質問例と回答のポイント(抜粋20問)
インタラクションデザイナーとして最も重要視している要素は何ですか?
- 回答ポイント:ユーザー体験全体の一貫性、直感性、感情への配慮
過去に担当したプロジェクトで工夫したマイクロインタラクションの例は?
- 回答ポイント:アニメーション、フィードバック演出、UX改善の効果
プロトタイピングツールは何を使っていますか?理由は?
- 回答ポイント:Protopie、Framer、Figmaなど/スピード感と精度
UIとUXの違いをどう理解していますか?
- 回答ポイント:見た目の美しさ(UI)と体験の満足度(UX)の違いと関係性
ユーザー行動をどのように観察し、設計に反映しますか?
- 回答ポイント:ユーザビリティテスト、ジャーニー分析、定性調査
技術チームとの連携で気をつけていることは?
- 回答ポイント:状態設計の明確化、フィージビリティの確認
ユーザーにとって「自然な操作」とは何だと思いますか?
- 回答ポイント:期待通りの動作、説明不要な導線
失敗したインタラクション設計とその改善経験を教えてください。
- 回答ポイント:仮説の誤り→検証→改善のプロセス
どのような情報をもとに動き(アニメーション)を設計していますか?
- 回答ポイント:ユーザーの操作時間、注意の向き、心理的負荷
視覚表現と操作性のバランスをどう取りますか?
回答ポイント:ユーザーテスト、優先順位づけ、シンプルな表現
複雑なフローを分かりやすくするためにどんな工夫をしていますか?
- デザインシステム内でのコンポーネント設計経験は?
- 非デザイナーにインタラクションの意図を伝える方法は?
- ストーリーボードやモックで伝えるときに意識することは?
- タップやスワイプのしやすさはどのように検証しますか?
- アクセシビリティ対応で意識しているポイントは?
- 音声やジェスチャーなど非ビジュアルUIの設計経験は?
- 感情に訴えるUXとは何だと考えていますか?
- 最近注目しているインタラクション事例やアプリは?
- あなたにとって理想的な体験とはどんなものですか?
これらの質問は、インタラクションデザイナーがどれだけユーザー視点を持ち、設計意図を言語化できるか、またプロトタイピングや他部門との連携力を備えているかを測るためのものです。成果と失敗の両面から語れるように準備しておきましょう。