状況

プロダクト会議や経営からの一言。

「競合もやってるし、とりあえずAIを入れよう」

ここでの「AI」は技術選定というより、新しさ・差別化・安心感のラベル であることが多い。
「精度が出ない」「コストが」「ハルシネーションが」と正面から否定すると、議論が感情になる。

やるべきは 拒否 ではなく 再定義 である。


たとえ

「とりあえずAIを入れる」は、店舗で言うとだいたいこう近い。

「とりあえず最新の厨房機器を買おう。料理が良くなるはずだ」

機器は手段である。メニュー(誰のどの仕事を楽にするか)、味の基準(成功指標)、料理人(人が見るポイント)が先にないと、高い機械が置き物になる。


提案の型(断らない5手)

  1. 歓迎する
    「自動化・省力化の方向は賛成です」

  2. 仕事に落とす
    「AIで楽にしたい作業は、どれですか? 問い合わせ一次回答、社内検索、下書き、画像分類…」

  3. 成功を測る
    「何%まで自動でよいか、人が必ず確認する箇所はどこか」

  4. 小さく試す
    「まず1業務・1チームで4週間。効果が出たら広げる」

  5. AI以外の近道も並べる
    「ルールエンジンやテンプレートで足りる部分は、そちらの方が速いこともあります」

ミーティングで使える一文

「『AIを入れる』より、『どの仕事を、どこまで機械に任せ、どこを人が見るか』を先に決めましょう。厨房機器を買う前に、メニューと味の基準を決めるのと同じです。」

相手が「だからAIでしょ」と戻してきたとき

「最終的にモデルを使う可能性は高いです。ただ発注(要件)が『機器を買え』だと失敗しやすいので、先にメニューを一緒に書きたいです。」


例外(すぐAI検討でよい場合)

  • すでに作業がデジタルで大量にあり、評価データも取れる
  • 人間だけでは回らない量が明確(例: 月数十万件の分類)
  • プライバシー・機密の扱い方針が既にある

このときは再定義を短くし、PoC設計に進む。


まとめ

相手の言葉 たとえ 返し
とりあえずAI とりあえず厨房機器 メニューと味の基準が先
競合もやってる 隣の店も機械を入れた うちのどの仕事用か
とりあえず全社導入 全店舗に同時導入 1業務・4週間から

「No」ではなく 「何のAIか」 に会話を移す。それがこのシリーズで一番使うコミュニケーションになる。