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ユーザー代表との連携: DSDMの実践手法

⚙️ 動的システム開発手法(Dynamic Systems Development Method, DSDM)完全ガイド

📌 1. 概要

動的システム開発手法(DSDM:Dynamic Systems Development Method)は、アジャイル開発の一種であり、ビジネスの即応性と確実な品質確保を両立させるために設計された開発フレームワークです。1994年にRAD(Rapid Application Development)を基にして誕生し、プロジェクトガバナンスとアジャイル原則のバランスが取れた手法として、多くのエンタープライズ向けプロジェクトで採用されています。

💡 ある官公庁システムの再構築では、厳格な予算と納期、かつ変化する要件への対応が求められました。DSDMの「時間・資源を固定し、機能を柔軟にする」原則により、計画的かつ柔軟な開発が実現されました。


🏗️ 2. 特徴

タイムボックス型開発: 各イテレーションに明確な期間を設定。

機能の優先順位づけ(MoSCoW法): Must, Should, Could, Won't に分類してスコープを管理。

ビジネス重視の原則: 技術よりもビジネス価値を優先。

ユーザーとの継続的なフィードバック: 開発初期からエンドユーザーと密に連携。

品質保証の一貫性: 初期から品質を設計し、継続的に検証。


🔄 3. DSDM のプロセス

DSDMの開発プロセスは、以下の段階に分かれます:

3.1 プレプロジェクト(Pre-project)
  • プロジェクトの妥当性、ビジネスニーズの定義。
3.2 フェジビリティ調査(Feasibility Study)
  • 技術的実現性、コスト、リスクの初期評価。
3.3 ファンデーション(Foundations)
  • プロジェクトのスコープ、方式、組織体制を明確化。
3.4 機能モデルの反復開発(Functional Model Iteration)
  • プロトタイピングとユーザー評価を通じて機能を進化。
3.5 設計と構築の反復(Design and Build Iteration)
  • 詳細設計から実装、テストまでを反復的に実施。
3.6 導入(Implementation)
  • 最終プロダクトの導入とユーザー教育、移行支援。
3.7 ポストプロジェクト(Post-project)
  • 維持保守体制の整備、学習のフィードバック。

⚖️ 4. メリットとデメリット
✅ メリット
  • ⏱️ 納期厳守型のプロジェクトに強い
  • 👥 ユーザーの関与が高く、満足度も高い
  • 🧩 スコープ管理と柔軟性の両立が可能
  • 📦 品質とガバナンスを両立したアジャイル運用
❌ デメリット

🎯 5. 適用されるプロジェクト

📌 適用される具体的なケース

  1. 🏛️ 官公庁・公共機関の大型システム再構築
  2. 🏢 厳格な予算と納期が求められるエンタープライズ開発
  3. 🏥 医療・教育などの業務部門との共同開発
  4. 🔄 変更頻度が高いが品質も重視される業務システム
  5. 📊 大規模データを扱う分析プラットフォーム

🔍 6. 導入のポイントと工夫
✅ 推奨ポイント
  • MoSCoW法を用いた明確な優先順位管理
  • ユーザー代表の常駐やワークショップの実施
  • タイムボックス単位の成果物レビューサイクル
  • 品質保証部門との連携プロセスを明文化

🎯 7. 結論

DSDMは、アジャイルの柔軟性を保ちつつ、計画性・ガバナンス・品質保証を重視したハイブリッドな開発手法です。スコープを柔軟に、時間とコストを固定することで、変化に強く現実的なプロジェクト運営が可能になります。

特に大規模・公共性の高いプロジェクトで導入効果が高く、ユーザーとの協調と優先順位管理を通じて、満足度の高い成果物を実現することができます。